水痘・帯状疱疹ウイルス感染に関連したと考えられる若年性解離性脳動脈瘤の1例

症例は45歳,男性である.浮動性めまいと左後頸部痛が出現し(第1病日),第9病日全身の皮疹,発熱と拍動性頭痛が出現した.初診時(第11病日)全身に水疱,痂皮が混在する丘疹を認め,水痘と診断しバラシクロビルを経口投与した.神経学的に局所病変を示唆する神経所見や髄膜刺激徴候は認めなかったが,第17病日に施行した頭頸部MRI,MRAで左椎骨動脈に最大径17 mmの紡錘状拡張を認め,同血管のMRI信号変化から亜急性期の椎骨動脈解離による解離性脳動脈瘤と考えられた.動脈の拡張所見を認めたことから抗血栓治療は導入せず,降圧治療を行った.水痘・帯状疱疹ウイルス感染との関連が示唆される若年性脳動脈解離はまれで...

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Published in脳卒中 Vol. 34; no. 1; pp. 34 - 38
Main Authors 吉原, 章王, 柴野, 健, 星, 明彦, 望月, 仁志, 杉浦, 嘉泰, 宇川, 義一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2012
日本脳卒中学会
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Summary:症例は45歳,男性である.浮動性めまいと左後頸部痛が出現し(第1病日),第9病日全身の皮疹,発熱と拍動性頭痛が出現した.初診時(第11病日)全身に水疱,痂皮が混在する丘疹を認め,水痘と診断しバラシクロビルを経口投与した.神経学的に局所病変を示唆する神経所見や髄膜刺激徴候は認めなかったが,第17病日に施行した頭頸部MRI,MRAで左椎骨動脈に最大径17 mmの紡錘状拡張を認め,同血管のMRI信号変化から亜急性期の椎骨動脈解離による解離性脳動脈瘤と考えられた.動脈の拡張所見を認めたことから抗血栓治療は導入せず,降圧治療を行った.水痘・帯状疱疹ウイルス感染との関連が示唆される若年性脳動脈解離はまれであり,貴重な症例と考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.34.34