CRT-D植込み後にLBBB型単形性心室頻拍を認めた拡張型心筋症の1例

心臓再同期療法 (CRT) は重症心不全の薬物療法無効例に対する治療法の一つである.心室内伝導障害を改善することで, 自覚症状や心機能の改善などが認められる.しかしながら催不整脈作用を有するとの報告もある.拡張型心筋症例において, 両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器 (CRT-D) へのアツプグレード後に単形性心室頻拍 (単形性VT) を認めた症例を経験した.左脚プロツク型のVTに対するelectroanatomical mapでは, 右室電極の近傍に異常低電位領域を認めた.アブレーションにより一時的に改善したが再発, その後CRT-Dプログラムの変更によりVTは抑制された.CRTによる...

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Published in心電図 Vol. 28; no. 6; pp. 583 - 587
Main Authors 岡野, 喜史, 高村, 和大, 藤野, 紀之, 五十嵐, 正樹, 山崎, 純一, 峯川, 幹夫, 田中, 雅博, 山下, 稔晴, 藤井, 毅郎, 渡邉, 善則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2008
日本心電学会
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Summary:心臓再同期療法 (CRT) は重症心不全の薬物療法無効例に対する治療法の一つである.心室内伝導障害を改善することで, 自覚症状や心機能の改善などが認められる.しかしながら催不整脈作用を有するとの報告もある.拡張型心筋症例において, 両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器 (CRT-D) へのアツプグレード後に単形性心室頻拍 (単形性VT) を認めた症例を経験した.左脚プロツク型のVTに対するelectroanatomical mapでは, 右室電極の近傍に異常低電位領域を認めた.アブレーションにより一時的に改善したが再発, その後CRT-Dプログラムの変更によりVTは抑制された.CRTによる左室傷害心筋を原因とするVTの報告では, 両室ペーシングの刺激がunidirectional blockを引き起こす機序を考察している.本例は右室において同様の機序によりVTが誘発された可能性があると考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.28.583