失語症で発症した脳梗塞後early seizureの1例

症例は54歳男性.脳梗塞発症翌日に失語が出現した.失語は急速に改善し,一過性脳虚血発作と考えた.第5病日に再度失語が出現し,その後すぐに右半身に,けいれん発作がみられた.発作中に施行した脳波検査で,左前頭葉から頭頂葉を中心とした左大脳半球に持続する律動性デルタ波がみられた.症状および脳波異常は,ジアゼパム投与にて改善したことから,脳梗塞後early seizureと診断した.脳卒中後けいれんは,脳梗塞の約10%で生じるとされている.本症例では,失語が繰り返し出現していたことから,抗てんかん薬ラコサミドを導入した.抗てんかん薬導入後は,神経症状の再燃なく経過した.非けいれん症状で発症する脳梗塞後...

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Published in脳卒中 Vol. 46; no. 2; pp. 134 - 140
Main Authors 矢野, 鉄人, 秋山, 茂雄, 前田, 有貴子, 福嶋, 直弥, 日野, 修嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
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Summary:症例は54歳男性.脳梗塞発症翌日に失語が出現した.失語は急速に改善し,一過性脳虚血発作と考えた.第5病日に再度失語が出現し,その後すぐに右半身に,けいれん発作がみられた.発作中に施行した脳波検査で,左前頭葉から頭頂葉を中心とした左大脳半球に持続する律動性デルタ波がみられた.症状および脳波異常は,ジアゼパム投与にて改善したことから,脳梗塞後early seizureと診断した.脳卒中後けいれんは,脳梗塞の約10%で生じるとされている.本症例では,失語が繰り返し出現していたことから,抗てんかん薬ラコサミドを導入した.抗てんかん薬導入後は,神経症状の再燃なく経過した.非けいれん症状で発症する脳梗塞後early seizureは,脳虚血発作との鑑別が難しく,脳虚血発作との鑑別を行うためにearly seizureの可能性を考慮し,診療にあたることが大切であると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11158