学齢健聴児と聴覚障害児における名詞複合語の連濁化の検討

要旨: 本研究では, 学齢期にある健聴児と聴覚障害児の複合語の合成と分解の獲得過程を明らかにし, さらに前部要素の構成品詞および後部要素の連濁化による成績の差異について検討することを目的とする。健聴児41名, および聴覚障害児6名に対し, 複合語の合成課題と分解課題を実施した。その結果, 健聴児については合成に比して分解の獲得が遅れること, 前部要素を構成する語が形容詞, 動詞である場合, 特に低学年で成績が低いこと, 聴覚障害児の複合語の獲得は, 合成課題では該当学年の健聴児と類似したが, 分解課題では品詞毎の正答率に一定の傾向はなく, 個人差が認められたことが明らかとなった。聴覚障害児の複...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 64; no. 4; pp. 315 - 321
Main Authors 笹目, 友香, 城間, 将江, 小渕, 千絵, 野口, 佳裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.08.2021
日本聴覚医学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨: 本研究では, 学齢期にある健聴児と聴覚障害児の複合語の合成と分解の獲得過程を明らかにし, さらに前部要素の構成品詞および後部要素の連濁化による成績の差異について検討することを目的とする。健聴児41名, および聴覚障害児6名に対し, 複合語の合成課題と分解課題を実施した。その結果, 健聴児については合成に比して分解の獲得が遅れること, 前部要素を構成する語が形容詞, 動詞である場合, 特に低学年で成績が低いこと, 聴覚障害児の複合語の獲得は, 合成課題では該当学年の健聴児と類似したが, 分解課題では品詞毎の正答率に一定の傾向はなく, 個人差が認められたことが明らかとなった。聴覚障害児の複合語の理解を助けるためには, 名詞に限らず, 形容詞や動詞に関するより丁寧な指導, 様々な活用形を意識した声掛けが望まれる。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.64.315