小腸GISTに伴う鉄欠乏性貧血により脳静脈血栓症を発症した神経線維腫症1型の1例

症例は63歳女性.頭痛やめまいを発症し,その5日後に痙攣発作のため当院に搬送された.頭部CT検査で右側頭葉皮質下出血を認め,造影CT検査で右横静脈洞に脳静脈血栓症を認めた.血液検査では高度の小球性貧血を呈し,小腸ダブルバルーン内視鏡検査により消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor: GIST)からの消化管出血が原因であると診断した.さらに全身の皮膚には軟性の小腫瘤が多発しており,皮膚科にて神経線維腫症1型(neurofibromatosis type1: NF-1)と診断された.NF-1は皮膚障害や腫瘍性疾患,脳血管障害などの多臓器症状を呈する常染色体顕性...

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Published in脳卒中 Vol. 46; no. 1; pp. 30 - 34
Main Authors 岸, 彩夏, 猪川, 文朗, 佐々木, 健太, 木下, 直人, 阿部, 貴文, 越智, 一秀, 入江, 南帆, 荒木, 睦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11157

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Summary:症例は63歳女性.頭痛やめまいを発症し,その5日後に痙攣発作のため当院に搬送された.頭部CT検査で右側頭葉皮質下出血を認め,造影CT検査で右横静脈洞に脳静脈血栓症を認めた.血液検査では高度の小球性貧血を呈し,小腸ダブルバルーン内視鏡検査により消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor: GIST)からの消化管出血が原因であると診断した.さらに全身の皮膚には軟性の小腫瘤が多発しており,皮膚科にて神経線維腫症1型(neurofibromatosis type1: NF-1)と診断された.NF-1は皮膚障害や腫瘍性疾患,脳血管障害などの多臓器症状を呈する常染色体顕性遺伝性疾患であり,GISTはNF-1にしばしば合併する.貧血は脳静脈血栓症のリスクであり,NF-1に血栓症が合併した場合には,消化管出血の精査が重要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11157