製パンプロセスにおけるパン酵母のストレス耐性:プロリン・アルギニン代謝と育種への応用

[1. はじめに] パン酵母(ほとんどはSaccharomyces cerevisiaeの2倍体)は発酵によって生産されるパン製品に必要な成分であり, 世界中で年間約200万トンのパン酵母が製造されている. 製パンプロセスにおけるパン酵母の機能は, 1) 発酵中にガス生成によって生地の重量を増やすこと, 2) 生地の構造や質感を形成すること, 3) 生地に特徴的な風味を付与することなどである. パン酵母は主にクリームイースト, 生イースト(圧搾酵母), ドライイースト(乾燥酵母)の形態で製造される. クリームイーストは乾燥重量で約20%の酵母を, 部分的な脱水によって製造する生イーストは乾燥重...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 185 - 193
Main Author 高木, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 2014
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ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.31.185

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Summary:[1. はじめに] パン酵母(ほとんどはSaccharomyces cerevisiaeの2倍体)は発酵によって生産されるパン製品に必要な成分であり, 世界中で年間約200万トンのパン酵母が製造されている. 製パンプロセスにおけるパン酵母の機能は, 1) 発酵中にガス生成によって生地の重量を増やすこと, 2) 生地の構造や質感を形成すること, 3) 生地に特徴的な風味を付与することなどである. パン酵母は主にクリームイースト, 生イースト(圧搾酵母), ドライイースト(乾燥酵母)の形態で製造される. クリームイーストは乾燥重量で約20%の酵母を, 部分的な脱水によって製造する生イーストは乾燥重量で約30%の酵母をそれぞれ含んでいる. 日本ではほとんどのパン酵母がクリームイーストか生イーストとして製造されている. 一方, 水分が5%以下のドライイーストは欧州などから輸入され, 貯蔵・輸送の利便性が高いことからホームベーカリーやベーカリーショップでの使用が増加している.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.31.185