軟骨伝導補聴器を適合した小児例の検討

要旨 : 軟骨伝導補聴器の試聴を行った13例の伝音または混合性難聴児を検討した。両側難聴で骨導補聴器装用中の4例は全例, 気導補聴器装用中の4例は1例が軟骨伝導補聴器を購入した。軟骨伝導補聴器の装用利得は既存の補聴器とほぼ同等で, 購入群と非購入群で有意差を認めなかった。骨導補聴器群の主な購入理由は装用感の良さであった。気導補聴器装群の非購入の理由は使い勝手の煩雑さや価格の高さであった。補聴器装用経験のない一側伝音難聴児5例では2例が購入したが, 非購入の1例は試聴を機に手術治療を希望し1例は後に再試聴して購入した。両側伝音難聴で従来は骨導補聴器しか選択肢のなかった症例では, 積極的に軟骨伝導...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 66; no. 6; pp. 536 - 543
Main Authors 須川, 愛弓, 鶴岡, 弘美, 臼井, 智子, 増田, 佐和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.12.2023
日本聴覚医学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨 : 軟骨伝導補聴器の試聴を行った13例の伝音または混合性難聴児を検討した。両側難聴で骨導補聴器装用中の4例は全例, 気導補聴器装用中の4例は1例が軟骨伝導補聴器を購入した。軟骨伝導補聴器の装用利得は既存の補聴器とほぼ同等で, 購入群と非購入群で有意差を認めなかった。骨導補聴器群の主な購入理由は装用感の良さであった。気導補聴器装群の非購入の理由は使い勝手の煩雑さや価格の高さであった。補聴器装用経験のない一側伝音難聴児5例では2例が購入したが, 非購入の1例は試聴を機に手術治療を希望し1例は後に再試聴して購入した。両側伝音難聴で従来は骨導補聴器しか選択肢のなかった症例では, 積極的に軟骨伝導補聴器の情報提供を行うべきである。補聴器非装用の一側伝音難聴児では試聴によって難聴児自らが両耳聴効果を知ることの意義は大きい。乳幼児期だけでなく, 難聴とそれによる支障を自覚する学童期に再度情報提供することが必要である。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.66.536