COVID-19に合併した破裂性内頚動脈解離によるくも膜下出血に対してclipping on wrappingを施行した1例

COVID-19に合併した内頚動脈解離によるくも膜下出血の報告は,稀である.今回,COVID-19に合併した破裂性内頚動脈解離に対してclipping on wrappingを行い,良好な経過を得た症例を経験した.症例は52歳男性.COVID-19罹患後5日目に意識障害で当院搬送され,頭部CTで水頭症を伴うくも膜下出血を認めたが,明らかな動脈瘤を指摘できず,脳室ドレーンによる頭蓋内圧管理とCOVID-19に対する内科管理を行った.経時的な画像検査で,左内頚動脈C1部に血管拡張と極小型脳動脈瘤を認め,解離性内頚動脈瘤と診断し,第16病日に開頭手術を行い,第77病日にmRS4でリハビリ転院した.C...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 46; no. 2; pp. 174 - 179
Main Authors 西田, 恭優, 今井, 資, 川端, 哲平, 野田, 智之, 槇, 英樹, 雄山, 隆弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:COVID-19に合併した内頚動脈解離によるくも膜下出血の報告は,稀である.今回,COVID-19に合併した破裂性内頚動脈解離に対してclipping on wrappingを行い,良好な経過を得た症例を経験した.症例は52歳男性.COVID-19罹患後5日目に意識障害で当院搬送され,頭部CTで水頭症を伴うくも膜下出血を認めたが,明らかな動脈瘤を指摘できず,脳室ドレーンによる頭蓋内圧管理とCOVID-19に対する内科管理を行った.経時的な画像検査で,左内頚動脈C1部に血管拡張と極小型脳動脈瘤を認め,解離性内頚動脈瘤と診断し,第16病日に開頭手術を行い,第77病日にmRS4でリハビリ転院した.COVID-19に合併したくも膜下出血は,解離発症の報告が多いものの内頚動脈解離の報告例は少なく,外科的治療戦略は一定の見解がないが,感染の活動性,動脈瘤の病態など,症例ごとに判断する必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11174