急性硬膜外血腫を発症した上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻に対し血管内治療を施行した1例

上矢状静脈洞部の硬膜動静脈瘻(SSS-dAVF)は稀な疾患だが,さらに頭頂部の急性硬膜外血腫(VEDH)を続発した非常に稀なSSS-dAVF症例に対し,血管内治療を施行した1例を報告する.症例は28歳男性.頭痛契機にVEDHを指摘された.外傷歴はなく,脳血管撮影を含めた精査を行い,中硬膜動脈が流入血管となるSSS-dAVFと診断した.VEDHに対しては急性期保存加療を行ったが,シャント病変による再出血の可能性を懸念し,亜急性期に経動脈的流入血管塞栓術を実施した.治療によりシャント血流は消失し,術後神経症状の悪化なく良好な経過をたどった.VEDHを続発したSSS-dAVFは,渉猟し得た限りで報告...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 2; pp. 142 - 146
Main Authors 永井, 靖識, 定政, 信猛, 山名, 則和, 滝, 和郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
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Summary:上矢状静脈洞部の硬膜動静脈瘻(SSS-dAVF)は稀な疾患だが,さらに頭頂部の急性硬膜外血腫(VEDH)を続発した非常に稀なSSS-dAVF症例に対し,血管内治療を施行した1例を報告する.症例は28歳男性.頭痛契機にVEDHを指摘された.外傷歴はなく,脳血管撮影を含めた精査を行い,中硬膜動脈が流入血管となるSSS-dAVFと診断した.VEDHに対しては急性期保存加療を行ったが,シャント病変による再出血の可能性を懸念し,亜急性期に経動脈的流入血管塞栓術を実施した.治療によりシャント血流は消失し,術後神経症状の悪化なく良好な経過をたどった.VEDHを続発したSSS-dAVFは,渉猟し得た限りで報告がなく,非常に稀な病態と思われた.外傷歴のないVEDHの病態評価には脳血管撮影が特に有用であり,VEDHを伴ったSSS-dAVFに対しての血管内治療は,安全かつ有効な治療法となり得た.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11030