Mobile stroke unitとその車載用診断装置の最新動向

最速の脳卒中治療とより良好な患者転帰を目的として,mobile stroke unit(MSU)が欧米を中心に運用されている.MSUは,頭部専用CT装置と遠隔通信装置を備えたドクターカーで,救急要請現場または救急車との合流点で,脳卒中の診断と治療および最適な搬送先決定を行う.MSUによる急性期脳梗塞rt-PA静注療法は2021年,通常救急搬送と比較した前向き試験により,有意に転帰良好であることが報告された.費用対効果の上昇も同様に明らかにされている.日本はMSUに搭載可能なCT装置が未承認であるため,MSU未導入である.今後承認されたとしても,導入および運用に関する巨額なコストなど,財政的な課...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 5; pp. 369 - 380
Main Authors 三澤, 雅樹, 河野, 豊, 廣木, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11138

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Summary:最速の脳卒中治療とより良好な患者転帰を目的として,mobile stroke unit(MSU)が欧米を中心に運用されている.MSUは,頭部専用CT装置と遠隔通信装置を備えたドクターカーで,救急要請現場または救急車との合流点で,脳卒中の診断と治療および最適な搬送先決定を行う.MSUによる急性期脳梗塞rt-PA静注療法は2021年,通常救急搬送と比較した前向き試験により,有意に転帰良好であることが報告された.費用対効果の上昇も同様に明らかにされている.日本はMSUに搭載可能なCT装置が未承認であるため,MSU未導入である.今後承認されたとしても,導入および運用に関する巨額なコストなど,財政的な課題が待ち構えている.このことは,特に医療提供の低い地方部・遠隔地へのMSU導入には,大きな障壁である.本論文では,MSUの最新動向と課題解決に向けた現在開発,または検証中の車載用診断装置についてまとめた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11138