髄膜血管型神経梅毒が疑われた脳卒中の1例

髄膜血管型神経梅毒が疑われた脳卒中の症例報告を行う.症例は56歳男性で,性風俗店利用中に突然の右上肢脱力と頭痛を来し,救急搬送された.CT, MRIにて少量の円蓋部くも膜下出血および左大脳穿通枝領域の脳梗塞を認め,各種画像検査では両側脳主幹動脈の複数領域にわたる狭窄性変化がみられた.入院時の採血で梅毒反応陽性であり,髄液検査を追加したところ,細胞数112/µl,蛋白95.0 mg/dl,TP抗体定量149.6 COI,RPR定量10.6 R.U.と上昇しており,髄膜血管型神経梅毒と診断した.ペニシリン点滴静注とステロイドパルス療法を行い,髄液RPR定量は0.1 COIに陰性化するとともに脳主幹...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 46; no. 2; pp. 149 - 156
Main Authors 西脇, 崇裕貴, 今井, 直哉, 白紙, 伸一, 秋, 達樹, 加藤, 貴之, 伊藤, 陽平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:髄膜血管型神経梅毒が疑われた脳卒中の症例報告を行う.症例は56歳男性で,性風俗店利用中に突然の右上肢脱力と頭痛を来し,救急搬送された.CT, MRIにて少量の円蓋部くも膜下出血および左大脳穿通枝領域の脳梗塞を認め,各種画像検査では両側脳主幹動脈の複数領域にわたる狭窄性変化がみられた.入院時の採血で梅毒反応陽性であり,髄液検査を追加したところ,細胞数112/µl,蛋白95.0 mg/dl,TP抗体定量149.6 COI,RPR定量10.6 R.U.と上昇しており,髄膜血管型神経梅毒と診断した.ペニシリン点滴静注とステロイドパルス療法を行い,髄液RPR定量は0.1 COIに陰性化するとともに脳主幹動脈の狭窄性病変は改善し,自宅退院となった.頭蓋内出血を伴う髄膜血管型神経梅毒は稀な病態であるが,梅毒患者増加に伴い同様の症例が増える可能性がある.他疾患との鑑別を慎重に行い,迅速にペニシリン投与を行うことが重要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11166