中大脳動脈解離性動脈瘤破裂に対して亜急性期にステント併用コイル塞栓術を行った1例

症例はくも膜下出血の56歳女性.搬送時のCT血管造影で,右MCAの動脈解離が疑われ,DSAでMCAのM1部に血豆状動脈瘤を伴う動脈壁不整を認め,解離性動脈瘤破裂と診断した.深鎮静,降圧管理による保存的加療を行ったのち,第18病日にステント併用コイル塞栓術を行った.母血管,分枝の血流は維持され,術後4週間後のDSAでは,動脈瘤の完全閉塞と解離病変の治癒を示し,3カ月後には歩行可能となった.1年後のDSAでも再発を認めなかった.MCA M1部の解離性動脈瘤破裂は,レンズ核線条体動脈を含む分枝を解離部位に含むため母血管閉塞を選択できず,これらを温存した開頭手術の治療成功の報告は少ない.近年のステント...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 2; pp. 175 - 180
Main Authors 三木, 一徳, 請田, 裕人, 松原, 啓祐, 阿部, 肇, 吉野, 正紀, 佐藤, 博明, 金中, 直輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11082

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Summary:症例はくも膜下出血の56歳女性.搬送時のCT血管造影で,右MCAの動脈解離が疑われ,DSAでMCAのM1部に血豆状動脈瘤を伴う動脈壁不整を認め,解離性動脈瘤破裂と診断した.深鎮静,降圧管理による保存的加療を行ったのち,第18病日にステント併用コイル塞栓術を行った.母血管,分枝の血流は維持され,術後4週間後のDSAでは,動脈瘤の完全閉塞と解離病変の治癒を示し,3カ月後には歩行可能となった.1年後のDSAでも再発を認めなかった.MCA M1部の解離性動脈瘤破裂は,レンズ核線条体動脈を含む分枝を解離部位に含むため母血管閉塞を選択できず,これらを温存した開頭手術の治療成功の報告は少ない.近年のステント併用の脳血管内治療の進歩で,母血管や分枝を温存した治療選択を行うことが可能となっており,個々の症例の特性に応じて至適治療時期は異なるが,ステント併用コイル塞栓術は一つの有力な選択肢になると考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11082