自然セラピーの予防医学的効果

「はじめに」現代に生きる我々の体は, 自然対応用にできている. 人間はヒトになって約500万年が経過するが, その99.99%以上を自然の中で過ごしてきたからである. 自然対応用の生理機能を持って, 現代の都市化・人工化された社会を生きているため, ストレス状態にあると考えられている(1). さらに, 近年における急激なコンピュータの普及はさらなるストレス状態の昂進を生み出しており, 1984年にはアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードにより, 「テクノストレス」という言葉が作られた(2). そのような状況を受けて, 今, 森林や木材等の自然環境(要素)に注目が集まっている. 代表的な自然環...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 651 - 656
Main Authors 宮崎, 良文, 李, 宙営, 朴, 範鎭, 恒次, 祐子, 松永, 慶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2011
日本衛生学会
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Summary:「はじめに」現代に生きる我々の体は, 自然対応用にできている. 人間はヒトになって約500万年が経過するが, その99.99%以上を自然の中で過ごしてきたからである. 自然対応用の生理機能を持って, 現代の都市化・人工化された社会を生きているため, ストレス状態にあると考えられている(1). さらに, 近年における急激なコンピュータの普及はさらなるストレス状態の昂進を生み出しており, 1984年にはアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードにより, 「テクノストレス」という言葉が作られた(2). そのような状況を受けて, 今, 森林や木材等の自然環境(要素)に注目が集まっている. 代表的な自然環境である森林や自然環境要素である木材に触れたとき, 強すぎる緊張状態, 高すぎる交感神経活動が抑制されリラックス感をもつのだと思われる. 人間としての本来のあるべき姿に近づき, それが快適感となって認識されると考えられる. 自然セラピーは「予防医学的効果」を目的としている点に特徴がある.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.66.651