内頚動脈無形成を合併した後交通動脈閉塞症例に対し機械的血栓回収療法を施行した1例
症例は73歳男性.起床時に左共同偏視,右片麻痺および全失語に気付かれ,救急搬送された.超急性期脳梗塞の診断で,機械的血栓回収療法を施行する際に左ICA無形成が判明した.左後交通動脈(posterior communicating artery: PcomA)の閉塞を認め,同血管を主要な側副血行路として,左大脳半球領域は灌流されていると判断した.左VAを経由して,閉塞していた左PcomAへアプローチし,同血管の再開通を得て,症状の改善が得られた.ICA無形成は稀な破格で0.01%未満の発症頻度とされる.通常は無症候性だが,主要な側副血行路の閉塞により症状が顕在化する.頭部CTによる頚動脈管の有無...
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Published in | 脳卒中 Vol. 46; no. 2; pp. 127 - 133 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2024
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 症例は73歳男性.起床時に左共同偏視,右片麻痺および全失語に気付かれ,救急搬送された.超急性期脳梗塞の診断で,機械的血栓回収療法を施行する際に左ICA無形成が判明した.左後交通動脈(posterior communicating artery: PcomA)の閉塞を認め,同血管を主要な側副血行路として,左大脳半球領域は灌流されていると判断した.左VAを経由して,閉塞していた左PcomAへアプローチし,同血管の再開通を得て,症状の改善が得られた.ICA無形成は稀な破格で0.01%未満の発症頻度とされる.通常は無症候性だが,主要な側副血行路の閉塞により症状が顕在化する.頭部CTによる頚動脈管の有無の確認や,側副血行路の把握が重要である.通常とは異なる経路でのデバイス誘導が必要な場合があり,デバイス選択の配慮,また潜在的な動脈瘤や動脈硬化性病変の存在に注意した慎重な操作が求められる. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11164 |