立位姿勢における滑動性追従眼球運動負荷時の重心動揺周波数特性についての検討

【目的】滑動性追従眼球運動(SPEM)負荷に対する姿勢応答特性があるとすれば、刺激周波数に関わらずばらつきの少ない一定周期の身体動揺を示すと考えられる。本研究では、複数の刺激周波数によるSPEM負荷時の重心動揺周波数解析から、SPEMによる姿勢応答特性と姿勢制御に関わる感覚運動システムとの関連について検討した。 【対象および方法】対象は健常若年成人20名。2 m前方の視標の固視条件と、0.1、0.33、0.5 HzのSPEM条件(水平振幅30°、視標速度6.0、19.8、30.0 deg/s)とで重心動揺を計測した。高速フーリエ変換を用いた左右方向の重心動揺軌跡の周波数解析から重心動揺スペクト...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 52; pp. 45 - 49
Main Authors 内川, 義和, 生田目, 美海, 荒井, 美穂, 黒川, 愛弥乃, 佐藤, 円香, 寺山, 美穂, 渡邉, 大, 岡野, 真弓, 髙橋, 由嗣, 新井田, 孝裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2022
日本視能訓練士協会
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Summary:【目的】滑動性追従眼球運動(SPEM)負荷に対する姿勢応答特性があるとすれば、刺激周波数に関わらずばらつきの少ない一定周期の身体動揺を示すと考えられる。本研究では、複数の刺激周波数によるSPEM負荷時の重心動揺周波数解析から、SPEMによる姿勢応答特性と姿勢制御に関わる感覚運動システムとの関連について検討した。 【対象および方法】対象は健常若年成人20名。2 m前方の視標の固視条件と、0.1、0.33、0.5 HzのSPEM条件(水平振幅30°、視標速度6.0、19.8、30.0 deg/s)とで重心動揺を計測した。高速フーリエ変換を用いた左右方向の重心動揺軌跡の周波数解析から重心動揺スペクトルを推定した。2.0 Hzまでのトータルパワーに対する各周波数のパワー含有率を算出し、対象20名の平均パワースペクトル曲線からピーク周波数を抽出し、変動係数(CV)を比較した。 【結果】固視条件では有意なピーク周波数を認めなかったが、SPEM条件では刺激周波数0.1および0.5 Hzでは0.39 Hzに、刺激周波数0.33 Hzでは0.32 HzにCVが最小となるピーク周波数を認めた。 【結論】SPEMの刺激周波数に関わらず0.3~0.4 Hzの間にばらつきの少ないピーク周波数を認め、SPEM負荷による視覚および眼球運動情報の前庭系への入力を介して現れた姿勢応答であることが推察された。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.52F106