左心耳内血栓を合併し,診断に苦慮した脳梗塞発症血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)はリンパ腫が血管内に増殖する疾患であり,貧血や低アルブミン血症,血清乳酸脱水素酵素の上昇などを呈する.今回我々は,脳梗塞がこれらの症状に先行し,診断に難渋したIVLBCLを経験した.症例は65歳男性.ふらつきで受診し,頭部MRIで多発脳梗塞を認めた.経食道心エコーで左心耳内血栓を認め,心原性脳塞栓症として治療するも,脳梗塞を繰り返した.経過中に微熱が出現し,貧血と低アルブミン血症,血清乳酸脱水素酵素,可溶性IL-2受容体の上昇を認めた.ランダム皮膚生検で,IVLBCLと診断した.化学療法を施行したが,3年後に死亡した.本例は左心耳内血栓を合併し,全身...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 5; pp. 420 - 425
Main Authors 木村, 智輝, 川尻, 智士, 山田, 慎太朗, 細田, 哲也, 新井, 良和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
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Summary:血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)はリンパ腫が血管内に増殖する疾患であり,貧血や低アルブミン血症,血清乳酸脱水素酵素の上昇などを呈する.今回我々は,脳梗塞がこれらの症状に先行し,診断に難渋したIVLBCLを経験した.症例は65歳男性.ふらつきで受診し,頭部MRIで多発脳梗塞を認めた.経食道心エコーで左心耳内血栓を認め,心原性脳塞栓症として治療するも,脳梗塞を繰り返した.経過中に微熱が出現し,貧血と低アルブミン血症,血清乳酸脱水素酵素,可溶性IL-2受容体の上昇を認めた.ランダム皮膚生検で,IVLBCLと診断した.化学療法を施行したが,3年後に死亡した.本例は左心耳内血栓を合併し,全身症状が出現するまで心原性脳塞栓症との鑑別が困難だった.抗凝固療法中にもかかわらず,短期間に脳梗塞を繰り返す場合には,IVLBCLも念頭に置く必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11132