生物発光を利用したワイヤレス脳活動計測

「1. はじめに」神経細胞集団の協調的活動から生じる(脳波EEG, 局所フィールド電位LFPをはじめとした)フィールド電位の計測は, 脳内のマクロな情報伝達の様式を反映し, 認知や行動制御といった様々な脳機能を理解するための手がかりとして古くから使用されてきた. さらに近年では, 遺伝子にコードされた蛍光膜電位センサーと光ファイバーを利用したTEMPOとよばれるフィールド電位の計測法が報告されている. この手法では, 細胞種特異的な遺伝子プロモーターを用いるなどの遺伝学的手法が応用可能であり, 細胞種を限定した計測が可能となる. したがって興奮性や抑制性などを含む様々な細胞種が混在する脳領域に...

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Published in生物物理 Vol. 60; no. 2; pp. 117 - 120
Main Authors 稲垣, 成矩, 揚妻, 正和, 永井, 健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2020
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.60.117

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Summary:「1. はじめに」神経細胞集団の協調的活動から生じる(脳波EEG, 局所フィールド電位LFPをはじめとした)フィールド電位の計測は, 脳内のマクロな情報伝達の様式を反映し, 認知や行動制御といった様々な脳機能を理解するための手がかりとして古くから使用されてきた. さらに近年では, 遺伝子にコードされた蛍光膜電位センサーと光ファイバーを利用したTEMPOとよばれるフィールド電位の計測法が報告されている. この手法では, 細胞種特異的な遺伝子プロモーターを用いるなどの遺伝学的手法が応用可能であり, 細胞種を限定した計測が可能となる. したがって興奮性や抑制性などを含む様々な細胞種が混在する脳領域においても, それらを区別した記録が可能になった. 一方, 近年はこれらの技術を元に, 自由行動中の動物における計測が活発に行われているが, 動物頭部と機器を繋ぐワイヤーや光ファイバーが必要であり, その弾性力が動物の自由行動を妨げてしまうことが知られている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.60.117