アスピリンの抗血小板作用に及ぼすロキソプロフェンナトリウムの影響とその回避方法

「緒言」低用量アスピリンに血小板凝集抑制作用が認められることが1967年に発見されてから1), 抗血小板薬としての有用性は複数の大規模臨床試験によって証明されてきた2, 3). 心筋梗塞の急性期におけるアスピリンの服用は, わが国を含む各国のガイドラインでも広く推奨されている4). アスピリンは血小板シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)の内部に入り込み, 529位のセリン残基を不可逆的にアセチル化する5). その結果, アラキドン酸がCOX-1の活性中心へ結合できなくなり, アラキドン酸の代謝産物であるトロンボキサンA2(TXA2)の合成が抑制される. アセチル化された血小板の反応性が回復す...

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Published in医療薬学 Vol. 37; no. 2; pp. 69 - 77
Main Authors 赤木, 祐貴, 柴田, 健太, 嶋田, 修治, 谷中, 昭典, 樋上, 賀一, 土谷, 隆紀, 久保田, 芳郎, 青山, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2011
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」低用量アスピリンに血小板凝集抑制作用が認められることが1967年に発見されてから1), 抗血小板薬としての有用性は複数の大規模臨床試験によって証明されてきた2, 3). 心筋梗塞の急性期におけるアスピリンの服用は, わが国を含む各国のガイドラインでも広く推奨されている4). アスピリンは血小板シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)の内部に入り込み, 529位のセリン残基を不可逆的にアセチル化する5). その結果, アラキドン酸がCOX-1の活性中心へ結合できなくなり, アラキドン酸の代謝産物であるトロンボキサンA2(TXA2)の合成が抑制される. アセチル化された血小板の反応性が回復することはないため, アスピリンの影響を受けていない新たな血小板が産生されるまで, 抗血小板作用は持続すると考えられている6).一方, ロキソプロフェンナトリウムをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は, 解熱・鎮痛目的に多種多様に用いられている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.37.69