周術期モニタリング
パルスオキシメータは現在,世界中の手術室やICUで必須の患者モニターとなっている.しかしながら従来のパルスオキシメータ(2波長)では異常ヘモグロビンの検出ができず,その異常ヘモグロビンの存在下では正しい酸素飽和度も測定できなかった.現時点でパルスオキシメータ改良の方向性は二つある.第一は,低灌流,体動あるいは小児に対しての信号検出における鋭敏性と正確性の追求である.第二に(多波長)パルスオキシメータにより,異常ヘモグロビンや正常ヘモグロビンの測定が可能となった(例えばCOヘモグロビン,メトヘモグロビンや総ヘモグロビンなど).近い将来,無侵襲の多波長パルスオキシメータを用いて,大量出血や低容量な...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 31; no. 4; pp. 660 - 668 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
2011
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Subjects | |
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Summary: | パルスオキシメータは現在,世界中の手術室やICUで必須の患者モニターとなっている.しかしながら従来のパルスオキシメータ(2波長)では異常ヘモグロビンの検出ができず,その異常ヘモグロビンの存在下では正しい酸素飽和度も測定できなかった.現時点でパルスオキシメータ改良の方向性は二つある.第一は,低灌流,体動あるいは小児に対しての信号検出における鋭敏性と正確性の追求である.第二に(多波長)パルスオキシメータにより,異常ヘモグロビンや正常ヘモグロビンの測定が可能となった(例えばCOヘモグロビン,メトヘモグロビンや総ヘモグロビンなど).近い将来,無侵襲の多波長パルスオキシメータを用いて,大量出血や低容量などの迅速な診断が実現可能であろう.一方,無侵襲の多機能(多波長)パルスオキシメータから波形解析により得られる新しいパラメーター(灌流指標PI:Perfusion Indexや脈波変動指標PVI:Pleth Variability Index)は有用である.PIは末梢循環を反映するだろう.PVIは動脈圧波形から得られるパラメーター(1回拍出量変動SVV:Stroke Volume Variation)と同様に輸液反応性の判断指標として有望である.結論として,大量出血や低容量に対しての治療や診断的価値は,無侵襲でリアルタイム測定可能な多波長パルスオキシメータを用いることにより周術期患者管理において適応が拡大する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.31.660 |