喉頭全摘の際発見された無カタラーゼ血液症の1症例

「はじめに」 無カタラーゼ血液症は, 血液中のカタラーゼ酵素が欠如している体質異常症で1949年に高原1)によりはじめて報告された. 本疾患は常染色体劣性遺伝で近親婚の家系で高率に発症する2). 今回, 私どもは耳鼻咽喉科領域で汎用されているオキシドール(R)を喉頭全摘術の際使用し, メトヘモグロビン血症が惹起され, 酵素活性測定の結果無カタラーゼ血液症と判明した症例を経験し, 家系調査を行ったので報告する. 「症例」 患者:71歳, 男性 主訴:嗄声 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:平成4年11月26日喉頭癌で当院入院, 化学療法併用放射線療法(FAR療法)を施行し外来にて経過...

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Published in喉頭 Vol. 8; no. 1; pp. 56 - 59
Main Authors 濱田, 良一, 菅野, 仁, 廣野, 晃, 吉田, 知之, 博久, 詠司, 舩坂, 宗太郎, 渡部, 一雄, 三輪, 史朗, 笹屋, 文香, 平出, 文久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 1996
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.8.1_56

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Summary:「はじめに」 無カタラーゼ血液症は, 血液中のカタラーゼ酵素が欠如している体質異常症で1949年に高原1)によりはじめて報告された. 本疾患は常染色体劣性遺伝で近親婚の家系で高率に発症する2). 今回, 私どもは耳鼻咽喉科領域で汎用されているオキシドール(R)を喉頭全摘術の際使用し, メトヘモグロビン血症が惹起され, 酵素活性測定の結果無カタラーゼ血液症と判明した症例を経験し, 家系調査を行ったので報告する. 「症例」 患者:71歳, 男性 主訴:嗄声 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:平成4年11月26日喉頭癌で当院入院, 化学療法併用放射線療法(FAR療法)を施行し外来にて経過観察していた. 平成5年8月局部再発をみとめ, 同年10月13日喉頭全摘術および頸部郭清術を施行した. 術前検査結果:表1のとおり 経過 1. 術中経過 全身麻酔(酵素‐笑気‐イソフルレン)下で口腔, 咽頭をオキシドール(R)(過酸化水素3%)2倍希釈液300mlで洗浄, 消毒後手術を開始した.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.8.1_56