5-Aminolevulinic acid (5-ALA) を投与した腫瘍内代謝物Protoporphyrin-IX (Pp-IX) の蛍光分析

著者らは蛍光分光分析を応用して5-アミノレブリン酸 (5-ALA) が生体組織において代謝生成するプロトポルフィリン-IX (Pp-IX) の定量的検出を基礎的, 臨床的に検討した. 動物実験: 担癌マウス (移植扁平上皮癌) に対して5-ALA軟膏を超音波照射併用により経皮投与した. その腫瘍組織内に取り込まれたPp-IXの新鮮凍結切片における蛍光発光スペクトルはミセル溶液に溶解した標準Pp-IXのスペクトルパターンと一致していることが検証され, 標準Pp-IXの蛍光強度と濃度の検量線から腫瘍組織内Pp-IX濃度を算出した. この定量法を種々の5-ALA誘導体について検討したところ, アルキ...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 23; no. 3; pp. 81 - 88
Main Authors 三好, 憲雄, 小笠原, 利行, 小川, 透, 佐野, 和生, 金子, 貞男, 福田, 優, 久住, 治男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2002
日本レーザー医学会
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Summary:著者らは蛍光分光分析を応用して5-アミノレブリン酸 (5-ALA) が生体組織において代謝生成するプロトポルフィリン-IX (Pp-IX) の定量的検出を基礎的, 臨床的に検討した. 動物実験: 担癌マウス (移植扁平上皮癌) に対して5-ALA軟膏を超音波照射併用により経皮投与した. その腫瘍組織内に取り込まれたPp-IXの新鮮凍結切片における蛍光発光スペクトルはミセル溶液に溶解した標準Pp-IXのスペクトルパターンと一致していることが検証され, 標準Pp-IXの蛍光強度と濃度の検量線から腫瘍組織内Pp-IX濃度を算出した. この定量法を種々の5-ALA誘導体について検討したところ, アルキル鎖が長い程, 扁平上皮癌ではPp-IXをより多く生産した. また5-ALA塗布中の超音波照射により経皮-吸収が促進され, Pp-IXの取り込み量が増大した. 臨床実験: 脳腫瘍 (Astrocytoma, Glioblastoma) 患者47例に5-ALAを経口投与し, 手術中の癌組織経口強度を半定量的に肉眼診断 (-, +/-, +, ++, +++) し, また摘出した癌組織内Pp-IX濃度を上記方法により求めた. 算出値は脳腫瘍の悪性度と正の相関 (指数関数的増加) を示し, また脳腫瘍の悪性度と術中の肉眼診断蛍光強度の間にも正の相関を認めた. 以上から本定量法の有用性が示されるとともに, 5-ALAの診断学的有用性が示唆された. 今後, 他領域の腫瘍においても, 術中蛍光観察診断は大変有用と考えられる.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.23.3_81