中大脳動脈M1部塞栓症に対する局所線溶療法施行後のレンズ核線条体動脈領域病巣の検討

「はじめに」脳虚血性病変では時間の経過とともに虚血病巣のviabilityが低下するため発症早期に血流を回復させ虚血巣の範囲を減じさせる目的で, 近年急性期局所線溶療法が積極的に行われている. さらに最近ではtissue plasminogen activator (以下t-PA) が開発され脳塞栓症に対する有効性についても報告されている. しかし, 血流の回復が脳浮腫を増強させ脳出血を起こすなどその危険性に対してもいくつかの報告があり, 急性期線溶療法の安全性や効果は確立されたとは言えない. 中大脳動脈M1部閉塞症では皮質枝のみならずレンズ核線条体動脈 (以下LSA) も同時に虚血傷害を受け...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 23; no. 6; pp. 459 - 464
Main Authors 田之岡, 篤, 高村, 幸夫, 森本, 繁文, 山田, 由美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 30.11.1995
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.23.6_459

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Summary:「はじめに」脳虚血性病変では時間の経過とともに虚血病巣のviabilityが低下するため発症早期に血流を回復させ虚血巣の範囲を減じさせる目的で, 近年急性期局所線溶療法が積極的に行われている. さらに最近ではtissue plasminogen activator (以下t-PA) が開発され脳塞栓症に対する有効性についても報告されている. しかし, 血流の回復が脳浮腫を増強させ脳出血を起こすなどその危険性に対してもいくつかの報告があり, 急性期線溶療法の安全性や効果は確立されたとは言えない. 中大脳動脈M1部閉塞症では皮質枝のみならずレンズ核線条体動脈 (以下LSA) も同時に虚血傷害を受ける. しかし側副血行路を持つ皮質枝と終末動脈であるLSAでは虚血病態は異なると考えられ, さらに線溶療法後の急激な再灌流がLSA領域に及ぼす影響についても不明な点が多い.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.23.6_459