シンバスタチンによりミオパチーが発症した一症例
「はじめに」シンバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害することにより, 血清総コレステロールを低下させる薬剤である. 本薬剤は副作用が少なく比較的安全に使用することができる薬剤といわれているが, 頻度不明の重大な副作用である横紋筋融解症やミオパチーが発現する場合がある. 横紋筋融解症とは, 骨格筋の変性, 壊死により筋細胞成分が血液中に流出する病態である. また, ミオパチーとは, 筋組織の異常状態, または疾患であり, 一般に骨格筋を侵す疾患をいう. 横紋筋融解症の発症機序についてはいくつかの仮説があるものの, まだ十分には解明されていない. 仮説としては, 1)コレステロールの減少が原因...
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Published in | 医療薬学 Vol. 32; no. 4; pp. 342 - 345 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2006
日本医療薬学会 |
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Summary: | 「はじめに」シンバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害することにより, 血清総コレステロールを低下させる薬剤である. 本薬剤は副作用が少なく比較的安全に使用することができる薬剤といわれているが, 頻度不明の重大な副作用である横紋筋融解症やミオパチーが発現する場合がある. 横紋筋融解症とは, 骨格筋の変性, 壊死により筋細胞成分が血液中に流出する病態である. また, ミオパチーとは, 筋組織の異常状態, または疾患であり, 一般に骨格筋を侵す疾患をいう. 横紋筋融解症の発症機序についてはいくつかの仮説があるものの, まだ十分には解明されていない. 仮説としては, 1)コレステロールの減少が原因で筋膜の流動性が亢進したり1), 細胞膜障害が起こったり2), Clコンダクタンスがブロックされることにより発症するという説3), 2)コレステロール生合成系の中間代謝物産生系が抑制され, イソペンテニルアデニンピロリン酸の減少によるtRNA合成阻害4), Rasのゲラニルゲラニル化の抑制5), e-NOSによる酸化物の形成6), CoQ10産生障害によるATP産生障害によるという説7), 3)細胞内Ca2+の増加による細胞死によるという説8)などが挙げられているが, 定説はまだ出ていない. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.32.342 |