血液透析患者の腎腫瘍摘出術時に未診断褐色細胞腫を合併した症例の麻酔経験

症例は67歳,男性.20年前に糖尿病と診断され,5年前に糖尿病性腎症で血液透析が導入された.また,高血圧に対して多剤内服中であった.今回,腎細胞癌と転移性副腎腫瘍の診断で摘出術が施行された.麻酔管理は全静脈麻酔と硬膜外麻酔で行った.腫瘍操作時に高血圧を認め,褐色細胞腫を疑い,腫瘍摘出後に著明な低血圧となり,術中管理に難渋した.今回は,未診断ゆえに血液透析管理を含めた循環血液量の術前補正ができなかったため,血圧管理に苦慮した可能性もあるが,それ以上に,褐色細胞腫を疑った後の静脈麻酔薬の投与量や循環系のモニタリング方法などの麻酔管理に反省すべき点もあり,そのため循環管理が困難であったと考えられた....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 32; no. 1; pp. 068 - 072
Main Authors 小寺, 厚志, 江崎, 公明, 上妻, 精二, 瀧, 賢一郎, 宮崎, 直樹, 石村, 達拡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2012
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.32.068

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Summary:症例は67歳,男性.20年前に糖尿病と診断され,5年前に糖尿病性腎症で血液透析が導入された.また,高血圧に対して多剤内服中であった.今回,腎細胞癌と転移性副腎腫瘍の診断で摘出術が施行された.麻酔管理は全静脈麻酔と硬膜外麻酔で行った.腫瘍操作時に高血圧を認め,褐色細胞腫を疑い,腫瘍摘出後に著明な低血圧となり,術中管理に難渋した.今回は,未診断ゆえに血液透析管理を含めた循環血液量の術前補正ができなかったため,血圧管理に苦慮した可能性もあるが,それ以上に,褐色細胞腫を疑った後の静脈麻酔薬の投与量や循環系のモニタリング方法などの麻酔管理に反省すべき点もあり,そのため循環管理が困難であったと考えられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.32.068