LC/ESI-MS/MSを用いた免疫抑制剤シロリムスの血中濃度測定
「緒言」シロリムス(ラバマイシン)は, シクロスポリンAやタクロリムスといった免疫抑制剤とともに世界で広く用いられている免疫抑制剤である1, 2). 現在, 日本においては未承認であるが, 海外で臓器移植を受けた患者がシロリムスを服用している例も認められるなど, 近年の臓器移植医療の発展に伴い今後日本においても服用患者が増加するものと考えられる. シロリムスはその治療域が狭いことや患者個々の薬物動態にばらつきが認められることからその適正使用には薬物血中濃度モニタリング(TDM)が必須であるが3), 海外においても各医療機関において機器分析法による血中濃度測定を実施するなど, 個別に対応している...
Saved in:
Published in | 医療薬学 Vol. 32; no. 4; pp. 289 - 294 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2006
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.32.289 |
Cover
Summary: | 「緒言」シロリムス(ラバマイシン)は, シクロスポリンAやタクロリムスといった免疫抑制剤とともに世界で広く用いられている免疫抑制剤である1, 2). 現在, 日本においては未承認であるが, 海外で臓器移植を受けた患者がシロリムスを服用している例も認められるなど, 近年の臓器移植医療の発展に伴い今後日本においても服用患者が増加するものと考えられる. シロリムスはその治療域が狭いことや患者個々の薬物動態にばらつきが認められることからその適正使用には薬物血中濃度モニタリング(TDM)が必須であるが3), 海外においても各医療機関において機器分析法による血中濃度測定を実施するなど, 個別に対応しているのが現状である. 日本におけるシロリムス服用患者へのTDMを行う際には, 測定実施施設への測定依頼が必要となり, 迅速な対応が不可能であるばかりか費用面においても負担が大きい. このような背景の中, 今回当施設においてシロリムスの測定依頼を受けたことから, われわれは感度および選択性に優れる液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析計(liquid chromatography/electrospray tandem mass spectrometry, LC/ESI-MS/MS)を用い, 簡便な抽出方法を組み合わせたシロリムスの血中濃度測定法を構築した. さらに, 本測定法をシロリムス服用患者より得られた試料に適用し, その有用性について検討を加えた. |
---|---|
ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.32.289 |