頸部頸動脈粥状硬化症の病理学的所見から見た脳虚血の発症機序
「はじめに」頸部頸動脈粥状硬化性病変が虚血性脳血管障害の原因となる機序については, おもに2つの機序が考えられている. 第一に頸動脈粥腫からの塞栓であり, 第二に内頸動脈の高度狭窄による血流低下である. 従来, 頸動脈内膜剥離術の摘出標本の病理学的所見から脳虚血の成因についてさまざまな議論が行われてきた. 他方, 本邦におけるこれらの病理学的検討は極めて少なく, また日本人では欧米人と病理学的にも異なるという意見がある. われわれは, 頸動脈内膜剥離術の摘出標本を病理学的に検討し, 脳虚血の発症機序について考察した. 「対象および方法」対象は1989年から1992年まで当科において頸動脈内膜剥...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 22; no. 3; pp. 235 - 240 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
1994
日本脳卒中の外科研究会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs1987.22.3_235 |
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Summary: | 「はじめに」頸部頸動脈粥状硬化性病変が虚血性脳血管障害の原因となる機序については, おもに2つの機序が考えられている. 第一に頸動脈粥腫からの塞栓であり, 第二に内頸動脈の高度狭窄による血流低下である. 従来, 頸動脈内膜剥離術の摘出標本の病理学的所見から脳虚血の成因についてさまざまな議論が行われてきた. 他方, 本邦におけるこれらの病理学的検討は極めて少なく, また日本人では欧米人と病理学的にも異なるという意見がある. われわれは, 頸動脈内膜剥離術の摘出標本を病理学的に検討し, 脳虚血の発症機序について考察した. 「対象および方法」対象は1989年から1992年まで当科において頸動脈内膜剥離術を行った55件のうち, 摘出標本の保存状態の良好な35症例からの45件の頸動脈粥腫である. 男性32例, 女性3例, 年齢は41歳から79歳 (平均65.3歳) であった. 10例は両側の内膜剥離術を行っている. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs1987.22.3_235 |