多発性骨髄腫患者に対するボルテゾミブ療法の有害事象の解析

「緒言」わが国の悪性新生物による死亡者数は約33万人(厚生労働省, 平成19年人口動態統計)であり, そのうち多発性骨髄腫の死亡者数の全がんに占める割合は約1%である. 多発性骨髄腫の病態は, 造血抑制(感染, 貧血, 出血), 免疫グロブリンM蛋白の大量産生(腎障害, 眼症状, 神経障害)および骨病変(骨痛, 骨折, 高Ca血症)を3大徴候とし, このうち骨病変は, 破骨細胞の活性化による骨吸収の亢進と, 骨芽細胞の分化抑制による骨形成の阻害により, 全身骨X線検査において, 骨抜き打ち像(punched-out lesion)が特徴的にみられる1). また, M蛋白量が病勢の指標となり,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 35; no. 6; pp. 387 - 394
Main Authors 岡田, 浩司, 千代川, 千代吉, 和野, 雅治, 小笠原, 信敬, 和賀, 信継
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2009
日本医療薬学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.35.387

Cover

More Information
Summary:「緒言」わが国の悪性新生物による死亡者数は約33万人(厚生労働省, 平成19年人口動態統計)であり, そのうち多発性骨髄腫の死亡者数の全がんに占める割合は約1%である. 多発性骨髄腫の病態は, 造血抑制(感染, 貧血, 出血), 免疫グロブリンM蛋白の大量産生(腎障害, 眼症状, 神経障害)および骨病変(骨痛, 骨折, 高Ca血症)を3大徴候とし, このうち骨病変は, 破骨細胞の活性化による骨吸収の亢進と, 骨芽細胞の分化抑制による骨形成の阻害により, 全身骨X線検査において, 骨抜き打ち像(punched-out lesion)が特徴的にみられる1). また, M蛋白量が病勢の指標となり, β2-マイクログロブリン値が予後因子となる2). 多発性骨髄腫に対する治療の変遷は, 進行期例に対して1960年代に確立したMP(Melphalan, Prednisolone)療法と, 再発例に対する救援療法として1980年代に開発されたVAD(Vincristine, Adriamycin, Dexamethasone)療法3), そして1990年代後半には医師の個人輸入という形でサリドマイドが投与されてきた.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.35.387