両側頸動脈のdolichoectasia と頭蓋外内頸動脈巨大血栓化動脈瘤を背景に再発性脳梗塞を来した1 例

要旨:症例は49 歳男性.5 年前に特発性拡張型心筋症と右頸動脈分岐部周囲の腫瘤を指摘された.2 年前に右内頸動脈領域の脳梗塞を来し当科入院.MRA にて両側総頸動脈から内頸動脈,外頸動脈起始部にかけて著明な血管拡張をみとめた.慢性期に抗血小板剤にて管理されたが,2 年後に右内頸動脈領域の脳梗塞を再発した.脳血管撮影では拡張した両側総頸動脈内に著明な血流停滞をみとめ,右総頸動脈内に形成された栓子により動脈原性塞栓を起こしたものと考えられた.生検の結果,右頸部腫瘤はコレステリン結晶を含む線維性結合織とフィブリン血栓であった.一般に部分血栓化動脈瘤は脳底動脈に多いが,本例は動脈硬化を基盤として両側...

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Published in脳卒中 Vol. 37; no. 3; pp. 177 - 181
Main Authors 原, 賢寿, 西巻, 啓一, 木村, 洋元, 大内, 東香, 柴野, 健, 榎本, 克彦, 石黒, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2015
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:症例は49 歳男性.5 年前に特発性拡張型心筋症と右頸動脈分岐部周囲の腫瘤を指摘された.2 年前に右内頸動脈領域の脳梗塞を来し当科入院.MRA にて両側総頸動脈から内頸動脈,外頸動脈起始部にかけて著明な血管拡張をみとめた.慢性期に抗血小板剤にて管理されたが,2 年後に右内頸動脈領域の脳梗塞を再発した.脳血管撮影では拡張した両側総頸動脈内に著明な血流停滞をみとめ,右総頸動脈内に形成された栓子により動脈原性塞栓を起こしたものと考えられた.生検の結果,右頸部腫瘤はコレステリン結晶を含む線維性結合織とフィブリン血栓であった.一般に部分血栓化動脈瘤は脳底動脈に多いが,本例は動脈硬化を基盤として両側頸動脈のdolichoectasia が巨大動脈瘤に伸展した稀な例と考えられた.その機序として慢性動脈解離が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.37.177