後頭蓋窩脳動静脈奇形の臨床的検討

「はじめに」後頭蓋窩の動静脈奇形(以下AVM)は, さほど頻度の高い疾患ではない. Batjerらの全AVMの14%, Drakeらの18%という高い報告は別として, 5~7%というのが諸家の報告としては最も多い. テント上のAVMと比べて若干臨床像が異なり, 様々な手術アプローチに関する研究や遠隔成績, 近年の血管内手術の発展, ガンマナイフによる治療などから, 治療方針にも種々の検討が加えられてきている. 私たちが経験した後頭蓋窩AVMについて, その臨床像, 治療成績, および転帰などにつき検討を加えたので報告する. 「対象と方法」1970年から1992年までの間に熊本大学およびその関連...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 22; no. 4; pp. 301 - 306
Main Authors 丸林, 徹, 高田, 明, 中村, 英夫, 生塩, 之敬, 秀拓, 一郎, 賀来, 素之, 野中, 信仁, 藤岡, 正導, 永廣, 信治, 北野, 郁夫, 吉田, 顕正, 和田, 秀隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1994
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.22.4_301

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Summary:「はじめに」後頭蓋窩の動静脈奇形(以下AVM)は, さほど頻度の高い疾患ではない. Batjerらの全AVMの14%, Drakeらの18%という高い報告は別として, 5~7%というのが諸家の報告としては最も多い. テント上のAVMと比べて若干臨床像が異なり, 様々な手術アプローチに関する研究や遠隔成績, 近年の血管内手術の発展, ガンマナイフによる治療などから, 治療方針にも種々の検討が加えられてきている. 私たちが経験した後頭蓋窩AVMについて, その臨床像, 治療成績, および転帰などにつき検討を加えたので報告する. 「対象と方法」1970年から1992年までの間に熊本大学およびその関連施設で経験した後頭蓋窩AVM 20症例を対象とした. 今回はdural AVMの症例は除外した. 全例に術前術後にCTおよび脳血管撮影を施行し, 一部の症例にはMRIも併用した. 19例は術前の血管造影でAVMと診断したが, 1例では術前の血管撮影でnidusの描出が不明瞭ながら, 術中血腫腔内に血管塊を認め組織標本よりAVMと診断した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.22.4_301