連鎖球菌の病原因子:古典的な因子からゲノム解析から見えてきたこと

「1. はじめに」レンサ球菌は, ヒトや家畜をはじめ, 自然界にも広く分布するグラム陽性の球菌で, 数多くの菌種が知られている. レンサ球菌属は, 細胞壁に存在する多糖抗原の免疫学的な特性に基づいて, A, B, C, D, E, F, GなどのLancefieldの群別法に分類される. なかでもA群レンサ球菌 (group A streptococci ; GAS) は学名をStreptococcus Pyogenesという. 血液寒天平板培地を用いた培養では明確なβ溶血を示すため, 臨床の場でもこの溶血能を指標に本菌は, 溶連菌と呼ばれることも多く, 特に, A群レンサ球菌は, 上気道炎や...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 94 - 99
Main Author 中川, 一路
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.06.2019
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ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.36.94

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Summary:「1. はじめに」レンサ球菌は, ヒトや家畜をはじめ, 自然界にも広く分布するグラム陽性の球菌で, 数多くの菌種が知られている. レンサ球菌属は, 細胞壁に存在する多糖抗原の免疫学的な特性に基づいて, A, B, C, D, E, F, GなどのLancefieldの群別法に分類される. なかでもA群レンサ球菌 (group A streptococci ; GAS) は学名をStreptococcus Pyogenesという. 血液寒天平板培地を用いた培養では明確なβ溶血を示すため, 臨床の場でもこの溶血能を指標に本菌は, 溶連菌と呼ばれることも多く, 特に, A群レンサ球菌は, 上気道炎や化膿性皮膚疾患などの原因菌としてよく見られる菌であり, 菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす. よく見られる疾患としては, 小児によく見られる急性咽頭炎が最も高頻度であるが, 膿痂疹, 蜂巣織炎, 特殊な病系としては, 猩紅熱がある.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.36.94