右下垂手からS状結腸癌の診断に至った高齢男性の1例

79歳男性。左被殻出血の既往があり,右上下肢に軽度の運動障害が残存していた。1ヶ月前に誘因なく新たに発症した右手麻痺が続くため来院した。脳血管疾患の再発が疑われたが,頭部CTおよびMRI検査では新規の脳血管障害を示す異常はなかった。追加の問診では3ヶ月前から血便が続いていることが明らかとなっ た。後日施行した下部消化管内視鏡検査により,S状結腸癌の診断に至った。S状結腸癌に対して開腹S状結腸切除術が実施され,右下垂手に対する理学療法が継続された。術後2ヶ月には右下垂手は改善したため,S状結腸癌に起因した傍腫瘍性神経症候群により発症した右橈骨神経麻痺が疑われた。本例では新規に発症した原因不明の神...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 34 - 38
Main Authors 竹田, 七海, 石田, 岳史, 吉野, 雄大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.01.2023
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.19.1_34

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Summary:79歳男性。左被殻出血の既往があり,右上下肢に軽度の運動障害が残存していた。1ヶ月前に誘因なく新たに発症した右手麻痺が続くため来院した。脳血管疾患の再発が疑われたが,頭部CTおよびMRI検査では新規の脳血管障害を示す異常はなかった。追加の問診では3ヶ月前から血便が続いていることが明らかとなっ た。後日施行した下部消化管内視鏡検査により,S状結腸癌の診断に至った。S状結腸癌に対して開腹S状結腸切除術が実施され,右下垂手に対する理学療法が継続された。術後2ヶ月には右下垂手は改善したため,S状結腸癌に起因した傍腫瘍性神経症候群により発症した右橈骨神経麻痺が疑われた。本例では新規に発症した原因不明の神経症状があり,画像検査では診断に至らなかったが,closed questionを用いた問診を追加したことが診断確定に寄与した。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.19.1_34