左側下顎枝部に透過性病変としてみられた甲状腺癌転移の1例

顎骨に発生した悪性腫瘍が他の遠隔臓器に転移したり, 他の臓器に発生した腫瘍が顎骨に転移することはまれであり, しかも顎骨に発見された転移癌から原発部の癌が発見された報告は少ない. 一般に, 悪性腫瘍が特定の臓器に転移しやすいことは知られているが, 腫瘍の組織系によってX線学的に特徴的な像を呈するとは言えないようである. 顎骨に転移した病変のX線像は透過像を呈するものが多く, 部位的には下顎臼歯部, 下顎枝に頻度が高いとされている. 今回我々が経験した下顎骨転移癌の一例は, 下顎枝部を中心に発生した骨破壊性の透過性病変で, 病理組織学的には比較的珍しい甲状腺原発の濾胞癌であったので, そのX線所...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 42; no. 2; pp. 128 - 129
Main Authors 荒木, 正夫, 橋本, 光二, 篠田, 宏司, 小宮, 山一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 2002
日本歯科放射線学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:顎骨に発生した悪性腫瘍が他の遠隔臓器に転移したり, 他の臓器に発生した腫瘍が顎骨に転移することはまれであり, しかも顎骨に発見された転移癌から原発部の癌が発見された報告は少ない. 一般に, 悪性腫瘍が特定の臓器に転移しやすいことは知られているが, 腫瘍の組織系によってX線学的に特徴的な像を呈するとは言えないようである. 顎骨に転移した病変のX線像は透過像を呈するものが多く, 部位的には下顎臼歯部, 下顎枝に頻度が高いとされている. 今回我々が経験した下顎骨転移癌の一例は, 下顎枝部を中心に発生した骨破壊性の透過性病変で, 病理組織学的には比較的珍しい甲状腺原発の濾胞癌であったので, そのX線所見を中心に症例を供覧する. 患者は55歳の女性で, 平成8年5月14日に左側の下顎枝部の透過像の精査のため本学歯科病院口腔外科に紹介され来院した. 現病歴としては3~4年程前に左側下顎智歯を抜歯しその後違和感があったが放置していた.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology1960.42.128