一過性脊髄虚血の病態

脊髄虚血は, 外科学の進歩による胸・腹部大動脈への手術術式の確立にともない, 対麻痺などの周術期合併症を生じるため問題となってきた。虚血再灌流障害については, 海馬CA1を含む脳での研究は多いが, 脊髄での研究は, そのモデルの確立の難しさから遅れていた。近年ZivinとDeGirolamiの方法を応用した再現性のあるモデル研究により, 一過性脊髄虚血後のselective motor neuron deathのメカニズムの一部が解析され, neuronal nitric oxide synthetase (nNOS) , 3-nitrotyrosine, superoxide dismuta...

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Published in蘇生 Vol. 19; no. 2; pp. 109 - 116
Main Authors 堀之, 内節, 村上, 憲孝, 松川, 周, 加藤, 正人, 橋本, 保彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 2000
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Summary:脊髄虚血は, 外科学の進歩による胸・腹部大動脈への手術術式の確立にともない, 対麻痺などの周術期合併症を生じるため問題となってきた。虚血再灌流障害については, 海馬CA1を含む脳での研究は多いが, 脊髄での研究は, そのモデルの確立の難しさから遅れていた。近年ZivinとDeGirolamiの方法を応用した再現性のあるモデル研究により, 一過性脊髄虚血後のselective motor neuron deathのメカニズムの一部が解析され, neuronal nitric oxide synthetase (nNOS) , 3-nitrotyrosine, superoxide dismutase (SOD) , Fasなどの関与が示唆されてきた。しかし, 虚血再灌流障害の機序の研究が進む反面, 脊髄保護法や虚血再灌流障害に対する治療法についてはいまだ十分であるとはいいがたく, この分野でのさらなる研究が望まれる。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.19.109