前庭神経炎の臨床像と経過
「はじめに」前庭神経炎は蝸牛症状を伴わない単発性めまいとして特異な存在であり, 疾患概念・定義・診断基準などはほぼ確立しているが1)2)3), その頻度は比較的稀であり, 多数例について臨床像や臨床経過4)を検討する機会は多くない. 著者らは当科で最近経験した前庭神経炎症例について, 前庭誘発筋電位検査VEMP5)6)の結果なども含めた臨床像・臨床所見と臨床経過を検討したので報告する. 「対象と方法」対象としたのは1998年4月から2006年12月までの8年9ヵ月間に当科で経験した, 旧厚生省研究班の診断の手引き(表1)3)に合致する前庭神経炎53例である(表2). これらの症例の病歴より臨床...
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Published in | Equilibrium Research Vol. 67; no. 2; pp. 141 - 145 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2008
日本めまい平衡医学会 |
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ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.67.141 |
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Summary: | 「はじめに」前庭神経炎は蝸牛症状を伴わない単発性めまいとして特異な存在であり, 疾患概念・定義・診断基準などはほぼ確立しているが1)2)3), その頻度は比較的稀であり, 多数例について臨床像や臨床経過4)を検討する機会は多くない. 著者らは当科で最近経験した前庭神経炎症例について, 前庭誘発筋電位検査VEMP5)6)の結果なども含めた臨床像・臨床所見と臨床経過を検討したので報告する. 「対象と方法」対象としたのは1998年4月から2006年12月までの8年9ヵ月間に当科で経験した, 旧厚生省研究班の診断の手引き(表1)3)に合致する前庭神経炎53例である(表2). これらの症例の病歴より臨床像, 神経耳科検査所見, 臨床経過を検討した. 神経耳科検査としては1)注視眼振と赤外線CCDカメラ下の頭位眼振の観察, 2)0度C, 氷水20ml刺激による温度刺激検査(ENG記録の場合には緩徐相速度, 赤外線CCDカメラ下の場合には眼振持続時間で算出したCPが15%以上 の場合に陽性とした), 3)前庭誘発筋電位検査VEMPの結果を検討した. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.67.141 |