ICUにおけるニカルジピン注射液による血管障害の危険因子の解析
「緒言」ニカルジピン注射液は, 本邦において手術時の異常高血圧, 高血圧性緊急症および急性心不全に適応を有し, 静脈投与が唯一可能なジヒドロピリジン系Ca拮抗薬であるため, 経口投与が不可な患者や緊急の高血圧に対して広く用いられている. 九州大学病院(以下, 当院)の集中治療室(intensive care unit: ICU)においても, 厳密な血圧管理の必要な脳卒中(脳出血, クモ膜下出血, 脳梗塞)患者などにニカルジピン注射液が使用されている. しかしながら, 本薬剤を末梢静脈より投与した場合にほかの薬剤と比較して高頻度に静脈炎が発現することがある. 静脈炎や漏出などの血管障害は, 紅斑...
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Published in | 医療薬学 Vol. 38; no. 9; pp. 541 - 546 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
10.09.2012
日本医療薬学会 |
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ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.38.541 |
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Summary: | 「緒言」ニカルジピン注射液は, 本邦において手術時の異常高血圧, 高血圧性緊急症および急性心不全に適応を有し, 静脈投与が唯一可能なジヒドロピリジン系Ca拮抗薬であるため, 経口投与が不可な患者や緊急の高血圧に対して広く用いられている. 九州大学病院(以下, 当院)の集中治療室(intensive care unit: ICU)においても, 厳密な血圧管理の必要な脳卒中(脳出血, クモ膜下出血, 脳梗塞)患者などにニカルジピン注射液が使用されている. しかしながら, 本薬剤を末梢静脈より投与した場合にほかの薬剤と比較して高頻度に静脈炎が発現することがある. 静脈炎や漏出などの血管障害は, 紅斑, 疼痛, 硬結といった症状を呈し, 患者のquality of lifeの低下や治療継続の困難, 入院期間の延長につながる可能性があるため, その対応は重要である. 海外ではニカルジピン注射液の投与14時間以降に血管障害が発現しやすいことが報告されており, 1)添付文書では12時間毎のカテーテルの差し替えが推奨されている. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.38.541 |