マンモグラフィ撮影装置(LORAD M-IV)におけるフィルム濃度分布特性の検討

われわれはマンモグラフィ撮影装置(LORAD M-IV)の精度管理を行う際に,ヒール効果として知られている管軸方向(乳頭胸壁方向)の濃度分布差だけでなく,管軸垂直方向(左右方向)にも濃度分布差が生じることに気付いた。そこで2つの実験を行い,濃度分布特性を調べた。実験1は精度管理に使用したフィルムのRMI156ファントム内部81箇所を濃度測定して,濃度分布グラフを作成した。実験2は撮影範囲すべてを覆う均一な厚さ約10mmのアクリル板を1~5枚重ね合わせ,フルオートで撮影してフィルムを作成,得られたフィルムの管軸方向1~17cm,管軸垂直方向1~23cmの範囲の108箇所を濃度測定して,濃度分布グ...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 22; no. 1; pp. 133 - 138
Main Authors 川島, 健, 辻村, 享, 岩瀬, 克己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 25.03.2013
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ISSN0918-0729
1882-6873
DOI10.3804/jjabcs.22.133

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Summary:われわれはマンモグラフィ撮影装置(LORAD M-IV)の精度管理を行う際に,ヒール効果として知られている管軸方向(乳頭胸壁方向)の濃度分布差だけでなく,管軸垂直方向(左右方向)にも濃度分布差が生じることに気付いた。そこで2つの実験を行い,濃度分布特性を調べた。実験1は精度管理に使用したフィルムのRMI156ファントム内部81箇所を濃度測定して,濃度分布グラフを作成した。実験2は撮影範囲すべてを覆う均一な厚さ約10mmのアクリル板を1~5枚重ね合わせ,フルオートで撮影してフィルムを作成,得られたフィルムの管軸方向1~17cm,管軸垂直方向1~23cmの範囲の108箇所を濃度測定して,濃度分布グラフを作成した。結果として,管軸方向では乳頭側の濃度が胸壁側より低くなり,胸壁側から約9cmまでは緩やかに,それを超えると急激に濃度低下していた。最大濃度差は約0.5であった。管軸垂直方向では左側から右側に向けて約7cmまで少し濃度上昇し,そこから緩やかに濃度低下していた。最大濃度差は約0.25であった。この濃度分布特性は精度管理や臨床での読影に影響を与えると思われる。この特性を与える原因究明も含め,今後さらなる検討が必要と思われる。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.22.133