PDCAサイクルを用いたがん化学療法に伴うB型肝炎ウイルス再活性化対策の後方視的実態調査
「緒言」 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus : HBV)キャリアおよび既往感染者に対して免疫抑制・化学療法によりHBVが再活性化する症例があり, 予防対策が重要である. HBV再活性化は, キャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性, かつHBs抗体またはHBc抗体陽性)からの再活性化に分類される. HBV再活性化のリスクはキャリアのほうが高いが, 既往感染者に対するステロイド単剤投与や固形がんに対する通常の化学療法でもHBV再活性化が生じた報告もあり, HBs抗体単独陽性例でも再活性化が起こり得る. HBV再活性化による肝炎は一過性の肝炎から致死的な重症肝炎までそ...
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Published in | 医療薬学 Vol. 42; no. 8; pp. 596 - 602 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
10.08.2016
日本医療薬学会 |
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Summary: | 「緒言」 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus : HBV)キャリアおよび既往感染者に対して免疫抑制・化学療法によりHBVが再活性化する症例があり, 予防対策が重要である. HBV再活性化は, キャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性, かつHBs抗体またはHBc抗体陽性)からの再活性化に分類される. HBV再活性化のリスクはキャリアのほうが高いが, 既往感染者に対するステロイド単剤投与や固形がんに対する通常の化学療法でもHBV再活性化が生じた報告もあり, HBs抗体単独陽性例でも再活性化が起こり得る. HBV再活性化による肝炎は一過性の肝炎から致死的な重症肝炎までその経過は多様であるが, 通常の急性肝炎と比較して劇症化率が高く, 死亡率も高いことが報告されている. また重症化しやすいだけでなく, 肝炎の発症により原疾患の治療を困難にさせるため, 発症そのものを阻止することが最も重要であり, 厚生労働省研究班「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン(GL)」に基づいた対策を講じることが望ましい. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.42.596 |