嘔吐,体重減少を契機に発見された幽門部異所性膵の1例

症例は3 歳男児.4 か月前頃より嘔吐を繰り返すため近医を受診した.腹部単純レントゲン写真で胃拡張を認め,内服薬で経過観察するも改善なく,4 か月間で約3 kg の体重減少も認めたため,精査目的に紹介となった.腹部超音波検査では幽門輪から十二指腸の筋層の肥厚を認めた.上部消化管造影検査では著明な胃の拡張および幽門部の通過障害の所見であった.上部消化管内視鏡検査では幽門輪に一致して狭窄所見を認めたが粘膜の異常は認めなかった.以上から原因不明の幽門狭窄症の診断で手術を施行した.術中所見では胃幽門部から十二指腸にかけて全周性肥厚を認めた.可及的に肥厚部前壁を3/4 周性に切除しHeinecke-Mi...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 1202 - 1207
Main Authors 金森, 大輔, 大木, 隆生, 平松, 友雅, 内田, 豪気, 芦塚, 修一, 吉澤, 穣治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.6_1202

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Summary:症例は3 歳男児.4 か月前頃より嘔吐を繰り返すため近医を受診した.腹部単純レントゲン写真で胃拡張を認め,内服薬で経過観察するも改善なく,4 か月間で約3 kg の体重減少も認めたため,精査目的に紹介となった.腹部超音波検査では幽門輪から十二指腸の筋層の肥厚を認めた.上部消化管造影検査では著明な胃の拡張および幽門部の通過障害の所見であった.上部消化管内視鏡検査では幽門輪に一致して狭窄所見を認めたが粘膜の異常は認めなかった.以上から原因不明の幽門狭窄症の診断で手術を施行した.術中所見では胃幽門部から十二指腸にかけて全周性肥厚を認めた.可及的に肥厚部前壁を3/4 周性に切除しHeinecke-Mikulicz 法にて再建した.病理診断は異所性膵であった.術後経過は良好であり,通常の食事摂取が可能となり体重増加も良好である.小児において有症状の異所性膵の報告は少なく,また本症例では残存膵組織が存在するため今後も慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.6_1202