脳活動計測に向けた非接触反射型時間分解イメージング装置の開発

近年,近赤外領域の光透過性を応用した脳活動計測装置への関心が高まりつつある一方で,観測対象である生体の高い光散乱特性のため,頭皮・頭蓋および脳髄液層の下部に存在する大脳皮質の活動を定量的かつ高空間分解能で画像化することの困難さも指摘されてきた.現行の後方散乱光検出装置は,送受光用の光ファイバープローブを観察対象表面に数cm間隔で固定し,各々の受光ファイバーにより検出される反射光の強度変化を解析・画像化するものであり,このような方法で得られた2次元画像の解像度は使用するプローブ数(及び送受光間距離)に依存する.我々は,空間分解能の向上と深部情報の分離・抽出・画像化を目的として,時間分解技術を応用...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 222 - 228
Main Authors 精山, 明敏, 関, 淳二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2005
日本レーザー医学会
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Summary:近年,近赤外領域の光透過性を応用した脳活動計測装置への関心が高まりつつある一方で,観測対象である生体の高い光散乱特性のため,頭皮・頭蓋および脳髄液層の下部に存在する大脳皮質の活動を定量的かつ高空間分解能で画像化することの困難さも指摘されてきた.現行の後方散乱光検出装置は,送受光用の光ファイバープローブを観察対象表面に数cm間隔で固定し,各々の受光ファイバーにより検出される反射光の強度変化を解析・画像化するものであり,このような方法で得られた2次元画像の解像度は使用するプローブ数(及び送受光間距離)に依存する.我々は,空間分解能の向上と深部情報の分離・抽出・画像化を目的として,時間分解技術を応用したイメージング装置の開発を行ってきた.装置の光源には,波長780, 830nmのピコ秒レーザ(繰り返し周波数:80MHz,パルス幅10psec)を用い,受光装置には,200psecのゲート幅での時間分解撮像が可能な高速カメラを用いた.散乱体への光の照射及び受光は大口径レンズを用いることにより非接触型とした.本装置では,測定に利用する光をファイバーにより限定することがないため,より広い面積での計測が可能となった.また,散乱体中の吸収体の検出位置の空間分解能を従来のファイバープローブ型後方散乱光検出装置の半分にできる可能性が示された.本解説では,この非接触反射型時間分解イメージング装置とファイバープローブ型装置に関して生体擬似資料を用いた測定結果について比較検討した.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.26.222