好中球のラクトシルセラミドを介した活性酸素産生機構について

「はじめに」好中球は自然免疫において重要な働きをしている細胞である. 病原微生物が身体に侵入すると, 好中球は速やかに病原体に向かって遊走し, それらを貪食し, 活性酸素を産生したり殺菌活性ペプチドを放出したりすることで病原微生物の排除を試みる. そこで, 好中球は病原微生物を認識するために補体レセプター, Fcレセプター, LPSレセプターあるいはβグルカンレセプターなど様々な受容体を細胞膜表面に発現している. 好中球のスフィンゴ糖脂質の約70%を占めるラクトシルセラミド(LacCer, CDw17)は, 古くよりグラム陰性菌, 陽性菌, 真菌など幅広い菌に結合することが知られており, 抗L...

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Published in炎症・再生 Vol. 23; no. 4; pp. 223 - 230
Main Authors 小林, 俊秀, 加賀, 直子, 村山, 季美枝, 石井, 久美子, 長岡, 功, 牧野, 麻美, 岩渕, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2003
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.23.223

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Summary:「はじめに」好中球は自然免疫において重要な働きをしている細胞である. 病原微生物が身体に侵入すると, 好中球は速やかに病原体に向かって遊走し, それらを貪食し, 活性酸素を産生したり殺菌活性ペプチドを放出したりすることで病原微生物の排除を試みる. そこで, 好中球は病原微生物を認識するために補体レセプター, Fcレセプター, LPSレセプターあるいはβグルカンレセプターなど様々な受容体を細胞膜表面に発現している. 好中球のスフィンゴ糖脂質の約70%を占めるラクトシルセラミド(LacCer, CDw17)は, 古くよりグラム陰性菌, 陽性菌, 真菌など幅広い菌に結合することが知られており, 抗LacCer抗体による架橋形成によって好中球は活性酸素を産生したり, 補体のC3biに対するレセプターであるCD11b/CD18(Mac1)の発現を上昇したりする. したがって, 好中球はLacCerを介した貪食・殺菌機構を持っていると考えられている.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.23.223