小児粉砕薬における医薬品含有量および損失の評価

『緒言』 近年, 簡易懸濁法の普及により医薬品の粉砕調剤は減少傾向にある. 簡易懸濁法は, 錠剤1錠を55℃のお湯20mLに入れ10分間程度放置し, 懸濁投与する方法1)であるが, 微量調製が必要となるNICU等での小児薬用量(1回辺り0.1錠等)では, 均一薬液として小分け分配投与できないため用いることができず, 現在もなお粉砕調剤で対応せざるを得ない現状がある. 従来, 粉砕調剤では力価や安定性の低下, 危篤な副作用出現の可能性2), 重量損失等の問題点3-6)が指摘されている. 特に小児の微量粉砕調剤においては, 成人量に比べ理論投与量に対しての薬剤損失の割合が大きくなり, より精確な調...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 37; no. 7; pp. 425 - 430
Main Authors 伊藤, 里恵, 斉藤, 貢一, 早川, 和宏, 湧井, 宣行, 小林, 岳, 中澤, 裕之, 三井, みゆき, 岩崎, 雄介, 大久保, 哲生, 矢野, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2011
日本医療薬学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.37.425

Cover

Loading…
More Information
Summary:『緒言』 近年, 簡易懸濁法の普及により医薬品の粉砕調剤は減少傾向にある. 簡易懸濁法は, 錠剤1錠を55℃のお湯20mLに入れ10分間程度放置し, 懸濁投与する方法1)であるが, 微量調製が必要となるNICU等での小児薬用量(1回辺り0.1錠等)では, 均一薬液として小分け分配投与できないため用いることができず, 現在もなお粉砕調剤で対応せざるを得ない現状がある. 従来, 粉砕調剤では力価や安定性の低下, 危篤な副作用出現の可能性2), 重量損失等の問題点3-6)が指摘されている. 特に小児の微量粉砕調剤においては, 成人量に比べ理論投与量に対しての薬剤損失の割合が大きくなり, より精確な調製が要求される. 小児向けステロイド剤として頻用されるコートリル錠の投与量は12~25mg/m2/日(新生児アジソン病補償量)である7)が, 現在市販の錠剤は10mg錠のみであり, 小児投与に際しては微量な粉砕調剤が度々必要となりより精確な粉砕調剤が求められる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.37.425