介護老人保健施設でのインフルエンザ感染発症に対するリン酸オセルタミビル予防投与の効果
[緒言] 現在, ヒトに感染するインフルエンザには大きく分けてA香港型(H3N2), Aソ連型(H1N1), B型の3種類がある1). また, 流行するウイルスは変異を繰り返すため, 流行を予測したインフルエンザワクチンが使用されている. そのため, ワクチンの有効性が必ずしも確実ではない. インフルエンザウイルス感染症は, 冬から春にかけて流行し, 高齢者が感染した場合, 急性呼吸器感染症等を発症し肺炎などで重篤化することがあるきわめて予後が悪い疾患である. 北信総合病院(以下, 当院と略す)では毎年, インフルエンザ発生の伝播拡大を抑えるため, ほぼ全員の職員がインフルエンザワクチン予防接...
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Published in | 医療薬学 Vol. 33; no. 1; pp. 93 - 97 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2007
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.33.93 |
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Summary: | [緒言] 現在, ヒトに感染するインフルエンザには大きく分けてA香港型(H3N2), Aソ連型(H1N1), B型の3種類がある1). また, 流行するウイルスは変異を繰り返すため, 流行を予測したインフルエンザワクチンが使用されている. そのため, ワクチンの有効性が必ずしも確実ではない. インフルエンザウイルス感染症は, 冬から春にかけて流行し, 高齢者が感染した場合, 急性呼吸器感染症等を発症し肺炎などで重篤化することがあるきわめて予後が悪い疾患である. 北信総合病院(以下, 当院と略す)では毎年, インフルエンザ発生の伝播拡大を抑えるため, ほぼ全員の職員がインフルエンザワクチン予防接種を実施し集団免疫(herd immunity)を行っている2). さらに, 入院患者や外来患者に対しても, 秋季から冬季(10~12月)にかけ, 予防接種をお願いしている. しかし, この予防接種を受けた人の中にも, インフルエンザウイルスに感染する人もおり, 化学療法として抗インフルエンザウイルス剤を投与しているのが現状である2). 抗インフルエンザウイルス剤の使用に対しては, 治療としての適応しかなかったが, 2004年7月に, インフルエンザ感染の恐れのある高齢者や, ハイリスク疾患患者(慢性呼吸器疾患, 慢性心疾患患者, 腎機能障害患者, 代謝性疾患患者, 糖尿病患者等)に対し予防投与が認可された. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.33.93 |