子宮内膜症におけるMAPKを介する炎症の解析と新たな治療戦略

「はじめに」「子宮内膜症について」子宮内膜症は月経痛・不妊症を引き起こし, 女性のリプロダクティブ・ヘルスを損なう疾患として注目されている. 子宮内膜症の発症機序の一つとして, 月経時に腹腔内へ逆流した子宮由来の内膜(正所性子宮内膜)が骨盤腹膜に生着する, いわゆる逆流説が広く受け入れられている. 逆流した子宮内膜が腹腔内マクロファージに捕捉される過程で, マクロファージより炎症性サイトカインであるIL-1(interleukin-1)が分泌される. このIL-1が, 腹腔内に存在する逆流子宮内膜・血球細胞等を刺激しサイトカイン・ケモカイン・プロスタグランディンを分泌させることで腹腔内が炎症状...

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Published in炎症・再生 Vol. 24; no. 6; pp. 629 - 633
Main Authors 堤, 治, 大須賀, 穣, 矢野, 哲, 吉野, 修, 武谷, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2004
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.24.629

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Summary:「はじめに」「子宮内膜症について」子宮内膜症は月経痛・不妊症を引き起こし, 女性のリプロダクティブ・ヘルスを損なう疾患として注目されている. 子宮内膜症の発症機序の一つとして, 月経時に腹腔内へ逆流した子宮由来の内膜(正所性子宮内膜)が骨盤腹膜に生着する, いわゆる逆流説が広く受け入れられている. 逆流した子宮内膜が腹腔内マクロファージに捕捉される過程で, マクロファージより炎症性サイトカインであるIL-1(interleukin-1)が分泌される. このIL-1が, 腹腔内に存在する逆流子宮内膜・血球細胞等を刺激しサイトカイン・ケモカイン・プロスタグランディンを分泌させることで腹腔内が炎症状態となる. そして, この炎症状態が子宮内膜の腹膜への生着を促進し, また, 子宮内膜症細胞の増殖を促進することが想定されている. 事実, 子宮内膜症患者の腹腔内貯留液中においてIL-1β, IL-6, IL-8, MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)などの炎症性サイトカインが増加していることや, in vitroの系においてIL-1βが子宮内膜症細胞からのIL-8, MCP-1分泌を誘導することが報告されている.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.24.629