小脳半球による随意眼球運動の制御機構
「緒言」霊長類の小脳の大部分を占める小脳半球(Cerebellar hemisphere)は, 随意運動と認知機能に関与することが示唆されている. 眼球運動の小脳領域として, 片葉(Flocculus)・傍片葉(Paraflocculus)と虫部(Vermis)が, 滑動性追跡眼球運動(スムーズパーシュート, 以下パーシュート眼球運動と略す)やサッケード眼球運動に関与することは, 30年以前より, サルを用いた神経活動の記録実験や損傷実験より示唆されている1)2). 臨床的にも, これらの領域を含む小脳部位が損傷すると眼振を伴った眼球運動異常が出現することが多く報告されている3). しかしなが...
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Published in | Equilibrium Research Vol. 68; no. 3; pp. 119 - 130 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2009
日本めまい平衡医学会 |
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ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.68.119 |
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Summary: | 「緒言」霊長類の小脳の大部分を占める小脳半球(Cerebellar hemisphere)は, 随意運動と認知機能に関与することが示唆されている. 眼球運動の小脳領域として, 片葉(Flocculus)・傍片葉(Paraflocculus)と虫部(Vermis)が, 滑動性追跡眼球運動(スムーズパーシュート, 以下パーシュート眼球運動と略す)やサッケード眼球運動に関与することは, 30年以前より, サルを用いた神経活動の記録実験や損傷実験より示唆されている1)2). 臨床的にも, これらの領域を含む小脳部位が損傷すると眼振を伴った眼球運動異常が出現することが多く報告されている3). しかしながら, 半球に随意眼球運動の制御部位が存在することは, 臨床例4)や, ヒトにおける心理物理学の研究5)が示唆しているのにも関わらず, 今まで実験的には, ほとんど検討されてこなかった. 著者らは, 小脳半球と大脳前頭眼野と解剖学的に強く結合することを, サルを用いた解剖の研究6)で示し, さらに一側性に半球第VII小葉を中心とした領域の損傷実験7)を行った. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.68.119 |