防腐剤無添加院内製剤20%自己血清点眼薬の充填量半減による汚染率軽減の検証

「緒言」 血液に由来する点眼薬の中でも血清点眼薬はハンセン病においても有用性の報告があり, 当園では院内製剤として20%自己血清点眼薬を調製している. 防腐剤無添加のため角膜上皮障害の発生を避けられるが, 一方で, 細菌が繁殖しやすい可能性もある. ハンセン病療養所に入所する患者の多くはハンセン病による何らかの後遺症を有しているが, その1つである顔面神経麻痺は兎眼を生じる. 閉眼できない状態は角膜上皮欠損を生じやすく, 細菌感染を起こしやすい. 汚染した点眼瓶は, 易感染性の眼球表面に細菌を導入した可能性があるとする意見もあり, 角膜疾患のある患者では血清点眼薬による効果を享受できる半面,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 45; no. 6; pp. 331 - 336
Main Authors 前田, 知穂, 藤後, 恭二, 齋藤, 司朗, 大神, 隆行, 後藤, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.06.2019
日本医療薬学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「緒言」 血液に由来する点眼薬の中でも血清点眼薬はハンセン病においても有用性の報告があり, 当園では院内製剤として20%自己血清点眼薬を調製している. 防腐剤無添加のため角膜上皮障害の発生を避けられるが, 一方で, 細菌が繁殖しやすい可能性もある. ハンセン病療養所に入所する患者の多くはハンセン病による何らかの後遺症を有しているが, その1つである顔面神経麻痺は兎眼を生じる. 閉眼できない状態は角膜上皮欠損を生じやすく, 細菌感染を起こしやすい. 汚染した点眼瓶は, 易感染性の眼球表面に細菌を導入した可能性があるとする意見もあり, 角膜疾患のある患者では血清点眼薬による効果を享受できる半面, コンタミネーションによる不利益を被る危険性も否定はできない. 院内製剤である点眼薬のコンタミネーションに影響を及ぼす要素として, 製剤の調製工程, 保管温度, 防腐剤添加の有無, 点眼手技などがある. 調製に際して当園ではフィルターを用いており, また, 冷凍・冷蔵保存下における血清点眼薬の成分の安定性については多数の報告があることから, 解凍前までは冷凍庫, 解凍・開封後は冷蔵庫で保管している.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.45.331