胆管癌との鑑別が困難であった自己免疫性膵炎の1例

閉塞性黄疸で入院した68歳の男性.CTで総胆管下部に全周性の壁肥厚,内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)で総胆管下部の狭窄を認めた.下部胆管狭窄部のブラッシング細胞診,胆汁細胞診では悪性所見を認めなかったが,血中IgGの上昇を認めなかったこと,腫瘍マーカーが異常高値であったこと,管腔内超音波検査(IDUS)で総胆管下部に内側低エコー層の全周にわたるやや不均一な肥厚像を認めたことから,胆管癌を疑い,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の組織所見から自己免疫性膵炎(AIP)が疑われ,IgG4を追加測定したところ高値を認め,AIPと診断した.胆管癌との鑑別が困難であった下部胆管狭窄で発症した...

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Published in膵臓 Vol. 24; no. 1; pp. 116 - 124
Main Authors 斎藤, 正人, 田中, 正則, 岡本, 豊, 藤田, 正弘, 相澤, 秀, 八森, 久, 川部, 汎康, 西村, 顕正, 福田, 眞作, 佐藤, 和則, 丹藤, 雄介, 千葉, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2009
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.24.116

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Summary:閉塞性黄疸で入院した68歳の男性.CTで総胆管下部に全周性の壁肥厚,内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)で総胆管下部の狭窄を認めた.下部胆管狭窄部のブラッシング細胞診,胆汁細胞診では悪性所見を認めなかったが,血中IgGの上昇を認めなかったこと,腫瘍マーカーが異常高値であったこと,管腔内超音波検査(IDUS)で総胆管下部に内側低エコー層の全周にわたるやや不均一な肥厚像を認めたことから,胆管癌を疑い,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の組織所見から自己免疫性膵炎(AIP)が疑われ,IgG4を追加測定したところ高値を認め,AIPと診断した.胆管癌との鑑別が困難であった下部胆管狭窄で発症したAIPの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.24.116