外リンパ瘻罹患後遅発性に発症した良性発作性頭位眩暈症の一例

「はじめに」外リンパ瘻は, 外リンパ腔と中耳腔に異常な交通が生じることにより, 外リンパ液が中耳腔へ漏出し, 内耳機能障害を来す疾患である. 原因としてもっとも多いのが外傷によるものであり, 外力によりアブミ骨が異常に変位することによる卵円窓の破綻, あるいは中耳内圧の急激な上昇により正円窓の破綻が起こるためと考えられる. めまいの予後は聴力に比べ良好とされており, 80~90%が1ヶ月以内に改善すると報告されている1). しかし, 聴力が改善しても長期間にわたってめまいが遷延する症例が時に見られ, 治療に難渋することがある. 今回我々は, 外リンパ瘻罹患後にめまいが遷延し, 11ヶ月経過した...

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Published inEquilibrium Research Vol. 66; no. 4; pp. 145 - 149
Main Authors 石井, 賢治, 飯田, 健二, 武田, 育子, 白崎, 隆, 新川, 秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2007
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」外リンパ瘻は, 外リンパ腔と中耳腔に異常な交通が生じることにより, 外リンパ液が中耳腔へ漏出し, 内耳機能障害を来す疾患である. 原因としてもっとも多いのが外傷によるものであり, 外力によりアブミ骨が異常に変位することによる卵円窓の破綻, あるいは中耳内圧の急激な上昇により正円窓の破綻が起こるためと考えられる. めまいの予後は聴力に比べ良好とされており, 80~90%が1ヶ月以内に改善すると報告されている1). しかし, 聴力が改善しても長期間にわたってめまいが遷延する症例が時に見られ, 治療に難渋することがある. 今回我々は, 外リンパ瘻罹患後にめまいが遷延し, 11ヶ月経過した後に良性発作性頭位眩暈症を発症した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加え, これを報告する. 「症例」患者:12歳, 男性. 主訴:回転性めまい, 左難聴・耳鳴. 既往歴:特記すべき事項なし. 原病歴:平成17年4月28日, バレーボールが左側頭部に当たり受傷した.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.66.145