膠原病性肺高血圧症の早期診断法

肺高血圧症(PH)の予後は極めて悪いが,膠原病性PH(CTD-PH)は特発性PHに比べて一層悪い.CTD-PHは肺動脈性PH単一ではなく,間質性肺炎,低酸素血症,慢性血栓塞栓症あるいは左心系病変による修飾を受け易い.近年,PHの診断法が進歩し,また,優れた血管拡張薬の開発によってPHの予後が改善したが,早期に診断が行われないと更なる改善は期待できない.これまで早期診断の試みがなされてきたが,肺拡散能(DLco)の低下は早期から出現する事が知られ,また,血清LDH値の上昇も比較的早期から出現する事を認めている.一方,安静時心エコー検査は非侵襲性であり,PHの存在を推測するのに優れているが,必ずし...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 32; no. 6; pp. 457 - 465
Main Authors 船内, 正憲, 岸本, 和也, 木下, 浩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2009
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.32.457

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Summary:肺高血圧症(PH)の予後は極めて悪いが,膠原病性PH(CTD-PH)は特発性PHに比べて一層悪い.CTD-PHは肺動脈性PH単一ではなく,間質性肺炎,低酸素血症,慢性血栓塞栓症あるいは左心系病変による修飾を受け易い.近年,PHの診断法が進歩し,また,優れた血管拡張薬の開発によってPHの予後が改善したが,早期に診断が行われないと更なる改善は期待できない.これまで早期診断の試みがなされてきたが,肺拡散能(DLco)の低下は早期から出現する事が知られ,また,血清LDH値の上昇も比較的早期から出現する事を認めている.一方,安静時心エコー検査は非侵襲性であり,PHの存在を推測するのに優れているが,必ずしも早期に異常を把握できない事があり,肺動脈圧の閾値の設定によっては右心カテーテル検査と相関しない場合もある.最近,当科では運動負荷心エコー検査を行い,PHの予測に有用である可能性を認めている.以上,DLcoやLDHの異常が見られる場合,臨床所見とともに,血液検査(KL-6,NT-proBNP,D-ダイマー),生理学的検査(心エコー),画像検査(HRCT)を定期的に観察する事が重要と考えられた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.32.457