経肛門的根治術を施行した直腸膜様閉鎖症の1例
症例は正期産・自然分娩の男児.外表奇形は認めなかったが,出生直後より進行する腹部膨満および嘔吐を認め,注腸造影検査にて直腸閉鎖症(以下,本症)が疑われた.腸閉塞症状が高度であり,生後3 日目に左側横行結腸に人工肛門造設術を施行した.術後精査にて,閉鎖部位は歯状線から20 mm 口側の直腸で,隔壁の厚さは4 mm の本症・膜様閉鎖と確定診断した.生後10 か月時に,経肛門的膜様部切除術を施行した.術後経過は極めて良好であった.本症では,人工肛門造設術を先行することで,閉鎖部のより詳細な評価が可能となり,低侵襲かつ排便機能を温存する術式を選択できたと思われた.閉鎖部位の状況が不明な本症は人工肛門造...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 7; pp. 1309 - 1314 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.12.2016
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.52.7_1309 |
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Summary: | 症例は正期産・自然分娩の男児.外表奇形は認めなかったが,出生直後より進行する腹部膨満および嘔吐を認め,注腸造影検査にて直腸閉鎖症(以下,本症)が疑われた.腸閉塞症状が高度であり,生後3 日目に左側横行結腸に人工肛門造設術を施行した.術後精査にて,閉鎖部位は歯状線から20 mm 口側の直腸で,隔壁の厚さは4 mm の本症・膜様閉鎖と確定診断した.生後10 か月時に,経肛門的膜様部切除術を施行した.術後経過は極めて良好であった.本症では,人工肛門造設術を先行することで,閉鎖部のより詳細な評価が可能となり,低侵襲かつ排便機能を温存する術式を選択できたと思われた.閉鎖部位の状況が不明な本症は人工肛門造設が必須と考えられた. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.52.7_1309 |