耳鼻咽喉科, 頭頸部外科領域におけるレーザー医学の近未来

過去1/4世紀の間に, メディカル・オプトエレクトロニクスの開発, 導入により医学, 医療の分野は, 社会生活の電化のスピードにも劣らずめまぐるしい電化の波にさらされている. なかでも, レーザーは, 人類が地球上に最初に生み出した人工の光として, すでに生体現象の計測や制御面で計り知れない貢献をしている1). いわば, レーザーこそは, 文字通り“医学に光”をもたらし, 精緻な先端医療技術の先導的役割を演じている. ここでは, 現時点でのレーザー医学, とくに耳鼻咽喉科, 頭頸部外科領域で果しうるレーザー医学の役割を通して, 近未来医学2)の一端を論ずることにする. 臨床医学の科学性 自然科...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 6; no. 4; pp. 21 - 25
Main Authors 昇, 卓夫, 島, 哲也, 森山, 一郎, 大山, 勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 1986
日本レーザー医学会
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm1980.6.4_21

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Summary:過去1/4世紀の間に, メディカル・オプトエレクトロニクスの開発, 導入により医学, 医療の分野は, 社会生活の電化のスピードにも劣らずめまぐるしい電化の波にさらされている. なかでも, レーザーは, 人類が地球上に最初に生み出した人工の光として, すでに生体現象の計測や制御面で計り知れない貢献をしている1). いわば, レーザーこそは, 文字通り“医学に光”をもたらし, 精緻な先端医療技術の先導的役割を演じている. ここでは, 現時点でのレーザー医学, とくに耳鼻咽喉科, 頭頸部外科領域で果しうるレーザー医学の役割を通して, 近未来医学2)の一端を論ずることにする. 臨床医学の科学性 自然科学の発展は, 現象の数理化によって与えられたという. それは, 情報を感知することに始まり, 現象の伝達, 数理への変換という過程を経て, 最終的に, 事象の制御につながるわけである. これを臨床医学にあてはめると, 病態の計測, 認識に始まり, 病態から生ずる予期すべき事態の数値化が試みられて, 究極的には病態制御へと活用されねばならない. これらの中で, 計測, 認知, 予測の過程までは, 診断学が, そして, 認知, 予測の一部をオーバーラップした形で制御までの段階が治療学に相当することになる. このことは, 診断学は, 何らかの形で治療に結びつくものでなければ真の意味での実践医学とはいえない. と同時に, 治療学は, 科学的根拠にたった診断学によって支えられねばならない.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.6.4_21